2020.2.28<緊急特別寄稿>研修講師の危機管理
新型コロナウィルスが全世界で猛威を奮っています。我が国にとっても深刻な問題です。小中高校が休校になり、イベントやコンサートも自粛、企業でもテレワークが推奨されています。人の集まりを避けるために集合研修も中止・延期されるようになりました。このままですと少なくとも3月一杯は研修は行われないでしょう。
まあ、3月は年度末ということでもあり、もともと研修は少ないのですが、4月になると各企業・団体で一斉に新入社員研修が行われます。若手講師にとってはフル稼働の時期ですが、果たして今年はどうなることやら。入社式は行わずにいきなり配属なんて企業もあるかもしれませんね。
でも新社会人のスタートとして新入社員研修は欠かせない行事です。集合研修が不可能ならば通信教育やオンデマンド教育に切り替えるところも出てくるでしょう。さらにそれ以外の研修となると不要不急ということで、今年は取り止めや延期になる可能性もあります。少なくとも今年の前半は影響があると思います。
昔から研修費・交際費・交通費は不景気になると真っ先に削られる領域です。バブル崩壊・リーマンショックの時は研修もかなり減りました。当時を振り返るとそれまでは羽振りがよかったのに、独立講師に見切りをつけサラリーマンに戻った人も大勢いました。私自身はどのように乗り切ったか・・・?
景気の良い時代でも研修費の安い業界はあります。忙しくなるとこのような業界の依頼を断る講師が多いのですが、私は断れませんでした。せっかくご依頼いただき、研修費は安いものの歓待していただけるので断れませんでした。同業者からは甘いと言われましたが、せっかくのご縁ですのでやらせていただきました。このような仕事を引き受けた後に、もっと高いフィーの依頼があり残念な思いをしたこともあります。
ところが突然のバブル崩壊、研修も中止・延期とだんだん先細りになりました。仕事のない講師も増えてきました。そんな時フィーの安い業界の担当者から、「景気の良い時は研修をお願いしても見向きもしてくれなかった講師が、最近は向こうから「研修やってあげてもいいよ」なんて言ってくるんですよ。もちろん断りますけどね」と言われました。幸い私はこのような業界の伝手もあり、不景気な時代でも研修講師を続けることができました。
ですから研修講師を長く続けたいのであれば、目先の講師料ばかりに惑わされてはいけません。世の中景気のよい時ばかりではないのです。多少講師料に目をつむっても、一生懸命研修を行っていれば先方も恩義を感じリピートがきます。おかげで私は20年以上のお付き合いの企業や団体がいくつかあります。
今から思うとこれが私自身の独立研修講師としての危機管理になっていたと思います。ただし、安い講師料の研修会社とのお付き合いはほどほどに。足元を見られますから〜。
一般社団法人 人財開発支援協会では、職業として研修講師を目指す方々へ「研修講師育成講座」を開講しています。経験の浅い研修講師・インストラクターの方のブラッシュアップとしてもお役に立ちます。
© 2020 Toshiharu Amemiya |